「アパロイド退治だぁ?」

ファルコの声がブリーフィングルーム内に響く。
現在母艦グレートフォックスはライラット系の大宇宙を進行中だ

「ああ。熱帯の惑星で1体の生存が確認された。」

フォックスがなだめるように答える。

「たった1体だけなら勝手に絶滅するのを待てばいいだろ?なんでオレ達がわざわざ・・・」

「ファルコ。アパロイドがただの虫では無いことはお前も承知だ。
 何かに侵食して災害をおこす可能性だってあるし、もしその1体が
 ファクトリー(アパロイド製造物体)だったら繁殖が行われてしまう。
 1体だけでも油断できないだろ?」

「・・・ちっ、めんどくせぇな・・」

ファルコは不機嫌そうにドカッとイスに座った。

「依頼サレタ惑星ノ大気圏ニ入リマシタ。」

「ありがとナウス。・・・わぁ、本当に暑そうな所ね・・」

「オイラ寒いのも苦手だけど暑いのもダメだよ〜」

「スリッピー、あなたね・・・・」

クリスタルとスリッピーが話しているのもつかの間、母艦は熱帯林の中に着陸した。

「よし、1体に全員出動する事もできないから俺1人が行ってくる・・・・・っと」

フォックスの体が突然よろめいて、ひざをついてしまった。

「フォックス!・・大丈夫?」

「・・ああ、少しめまいがしただけさ・・」

「といってもお前さん、昨日も仕事でろくに寝とらんだとう?」

「・・・まぁ・・・。」

ペッピーが口を挟む。心なしかフォックスが汗ばんでいるように見えた。

「フォックス、なんだか息が荒いわよ。少し休んだほうが・・」

「・・しかし、誰がかわりに・・」

「ちっ、しゃーねーなぁ・・」

「ファルコ?」

ファルコはブラスターを磨いている。

「オレが行ってきてやるよ」

「・・どういう風の吹き回しだ?」

「そうだよファルコ〜。頭でも打ったの?」

「お前らなぁ・・・。
 そんなヨレヨレの状態で倒れちまった方が後がめんどくせぇんだよ。
 だったらアパロイド1体くらいオレが軽くぶっつぶしてやるよ。」

「・・そうしてくれると助かる。ありがとな。」

「・・フン。」

「それじゃあ気を付けてね、ファルコ!」

「おう!」

ファルコは得意げに部屋を出ていった。

「ファルコ、大丈夫かなぁ?」

「あいつだってエースパイロットなんだ。任せられるさ。」

「ファルコの方はいいとして、お前さんはもう休め。だんだん顔色が悪くなってるぞ。」

「・・ああ。そうさせてもらうよ。」

フォックスは自分の部屋に戻った。最近自分でも疲れに気づかないほど忙しかった。
こうして時間ができたとたん、どっと疲れが出てきた。体が重い。

「ふぅ・・・・」

ベッドにドサッと倒れ込む。疲れきった体にはとても心地よかった。
少しの間もなくフォックスの意識は、遠のいていった。







「にしてもあっちいなぁ・・・」

背丈以上にもある草をかき分けながらファルコがつぶやく。人は住んでいないようで、
全く手入れをされていない為、草木が伸び放題の状態だ。
しかもこの熱帯。地面から伝わってくる蒸し暑さとかんかん照りの日光は
とても探索しづらい環境だった。

「これじゃあアパロイドを見つける前にぶっ倒れちまうぜ・・・」

その瞬間、1体の生物反応がレーダーに表示された。

「!! アパロイドか!?・・・それに何か臭うぞ・・・」

反応物がレーダー上でどんどんこちらに近づいてくる。ブラスターをかまえる。

「・・・この臭いは・・・!」

ガサッ!!っと草木の前から何かが飛び出してきた。
まず目に入ったのが深緑色をしたドラム缶。そしてそこから突き破って
まがまがしく出ているとがった数本の脚。侵食したアパロイドだ。
そして独特の臭いを発しているドラム缶の中の液体はー

「こんな環境の中どこにガソリンなんてあったんだよっ!?」

凶暴化したアパロイドが突進してくる。即座にファルコが避ける。

「やっかいな物を侵食してくれるぜ・・!!」

こんな大自然の中ガソリンにブラスターなんか撃ってしまったら大火災が起きる。
ファルコは草木が生えていないところを探すように攻撃を避けつつ逃げていった。






「・・・う・・・ん・・・」

薄らいだ意識の中で目が覚める。しんどそうにフォックスが起きあがる。
まだ体が重いように感じたが、少し寝たおかげでさっきよりずいぶん楽になった。

「あらフォックス、体調はどう?」

「ああ。おかげで良くなったよ。ファルコは帰ってきたのか?」

「いいえ、あれから結構経つけどまだ帰ってきてないわ。」

「そうか・・。アパロイド1体だというのにどうしたんだ・・」

「この星も広いからね。捜索に手間取っているんじゃないの?」

アーウィンのメンテナンスをしながらスリッピーが言った。
フォックスは少し黙って何かを考えているようだったが、すぐに顔を上げ、

「・・・ちょっとナウスの所へ行ってくる。」

「どうしたのフォックス?」

「・・少しな。」

そう言うと、フォックスはナウスのいるコントロールルームに向かった。

「ナウス、今回の件のアパロイドについてサーチできるか?」

「レーダー反応ガ出テイマス。サーチシテミマス・・・。」

ナウスが何か周りの機械を忙しそうに作動しているのをフォックスは黙って待っていた。
その表情はどこかしらこわばっていた。

「サーチ完了シマシタ。」

「モニターに表示してくれるか?」

「ワカリマシタ。」

アパロイドの情報がモニターに細かく表示された。

「・・・!!これはドラム缶か?それにコイツは・・・」

「・・・ファルコがやばい・・!!」



「フォックス?一体どうしたの?・・・・・あら?」

クリスタルが来た頃にはフォックスの姿はなかった。







「ハァ・・・ハァ・・・」

そう遠くないところに砂地があった。しかし、激しい攻撃を避けながらの移動は
ファルコの体力を確実に減らしていた。

「・・よし、ここなら大丈夫だな。いくぜ・・・!!」

ブラスターをアパロイドに構え、発射した!
しかしその瞬間、アパロイドはファルコめがけて飛びついてきた。

「んな・・・っ!!」

至近距離でドオォォォォオオオン!!!と激しい爆発が起きた。
とっさに避けたおかげで重傷とまではいかながったが、

「くっ、脚が動かねぇ・・・!」

激しい爆風のせいで脚を強く打ってしまった。マヒしてしまって、うまく動けない。
アパロイドはまだ生きていた。ドラム缶はなく、素の形に戻っていた。クモみたいな形だった。
アパロイド自身もあの爆破で動きがよろめいているが、ファルコに向かって近づいてきた。

新しい主を、求めるかのようにー。

「・・おい、ちょっと待てよ。来るんじゃねぇ!!」

クモのような脚が体におおいかぶさってくる。

「や・・・・・め・・・・ろ・・・・・ッ!!」

意識がぼやける。体もだんだん言うことを聞かなくなっているのがわかる。
ファルコはアパロイドに侵食されてしまった。

(すまねぇみんな・・。・・・戻れそうにねぇ・・・。)






































遠のいていく意識の中、何かが耳に入ってくる。

























「・・・・ルコ!」

聞き覚えのある声。

「・・・・ファルコ!!」

「・・・・フォックス!?」

目の前にフォックスの姿が映っている。
自分の体は立ち上がっていてフォックスと向き合っている状態だった。

「凶暴に侵食する種と聞いてすぐ駆け寄ってみたが・・・ファルコ・・!!」

「バカ野郎!なんで来たんだ!!それにお前体調が・・・」

「そんなことはどうでもいい!今助けるぞ!」

「・・・・・ッ!!」

意志とは逆にフォックスに向かってブラスターを連射する。
フォックスは左右にかわす。が、ファルコの腕もあり避けるのにギリギリだった。

「早く消えろ!撃たれてぇのか!!」

「お前を連れて帰るまで帰れるか!!」

と、その瞬間、レーザーがフォックスのほほをかすってしまった。血が流れる。

「!!」

「・・・・くっ」

「・・・・・」

ファルコの連射が止まった。しかし銃口はフォックスを向いたままだ。

「ファルコ・・?」

「・・・フォックス・・・」

「俺を撃て」

「・・・・!!」

「早くしねぇとまたお前を撃っちまう。早く撃て!!」

フォックスはためらうようにブラスターを下げていたが、そしてー

「・・・わかった。お前を撃とう。ファルコ」

「よく狙えよ」

「・・・わかってるさ。」

フォックスはブラスターをかまえる。その照準は、間違いなくファルコ。

「いくぞ、ファルコ!」

フォックスが引き金を引いた。


























「・・・・・・ん・・・」

「ファルコ!」

視界が広がる。目の前には心配そうな表情をしたフォックスがいた。

「ファルコ、しっかりしろ!」

「オレ・・生きているのか?」

「ああ。お前のブラスターについていたアパロイドの神経を撃って
 アパロイドだけ倒したんだ。」

少しマヒしながらも手足が動いた。自由になった自分の体をゆっくりと確かめる。

「・・オレじゃなくてブラスターだけを撃ったってか。
 さすがリーダーだぜ。へへ・・・。」

苦しそうにファルコが苦笑する。

「脚、動けないだろ?肩かしてやるから帰ろう。」

「・・・・・だめだ」

「・・ファルコ?」

ファルコが真顔になる。

「オレはもうあそこには・・帰れねぇ。」

「・・もしかして俺を撃ってしまった事に責任感じてるのか?しかしあれはー

「自分の意志だろうがそうでなかろうが仲間を撃ってしまったのは事実なんだよ!!」

「・・・・・」

しばらく沈黙が続く。
そして最初に口を開いたのはフォックスだった。

「・・確かにお前は乱暴だしアーウィンの扱い方も荒っぽくていつもスリッピーを困らす。」

「・・・・・・」

「協力的とはいえないし、仕事もナウスやペッピーに任せっきりだし・・・」

「・・・てめぇ・・」

「しかし!お前は大切なエースパイロットだし、なくてはいけない仲間なんだ!」

「!!」

「動かないというつもりなら無理にでも連れていくぞ。」

「なっ!お前やめろって!・・・っつ!」

フォックスがファルコをおぶる。

「全く、そのボロボロの体でよくそんな強気でいられるよな。」

「・・・るせぇ」

「元はと言えば俺を助けるつもりでこの暑い中出動したんだ。
 それに結果的にはアパロイドを倒した。責任なんて感じる必要ないじゃないか。」

「・・・・・。ああ。」

(全く・・・・・・お前には・・・・・負けるよ・・・・・・。)

ずっと侵食されていたためか疲労がずっしりと体に乗っていた。
目の前に迎えに来てくれたグレートフォックスは見えたが、それを境に眠ってしまった。






数日後。

「・・・ったく、助けたいのか助けられたいのか、はっきりしねぇ奴だなぁ・・」

「・・うるさいな。ゴホッ!ゴホッ!」

まだ治りきっていない体でフォックスは激しい戦いをしてしまったため、
ハッキリとした風邪をひいてしまった。ファルコがベッドの横であきれている。

「全く・・・。なんか食うか?」

「いや、いい・・・。」

「フォックス大丈夫?おかゆ作ってきたんだけど食べる?」

「あー・・・。じゃあ貰うよ。」

「・・・お前なぁ・・・」

今日もスターフォックスは見えない絆でつながっている。




End.



□ ■ あ と が き ■ □ きましたよ。ベタ 第・三・弾 !!(ウザイ 体操られて「俺を撃てー!!」なんてこれまでにないベタですね。今回最高潮かも。 まぁー・・何度もいいますけど自分はベタを基準にしかかけない文能力ですから^^; ベタを基準に書きたい話を書く・・・なんて幸せなんでしょう(蹴 そんな3話目、読んでくださりありがとうございました! 3話目は1話・2話とは違い少し雰囲気が違います。ほのぼのじゃないです。 スターフォックスなんだから戦わなきゃ!的に。(ぇ 実は2話より前に暖めてあった話なんですが、うまく固まらずにこの順番に。 初めはフォックスが操られちゃって崖から落ちちゃってました(待て まぁそこで・・ファルコかウルフが助けるんですけどね(知らんて 新たなジャンルへの挑戦、気に入って頂けたらと思います。 それにしてもスリッピーの登場がかなり少ない(汗 彼が主役になる日は来るのでしょうか・・・っ! ご感想頂けたら嬉しいです^^ 図書室Top Top