Leader - リーダー
やとわれ遊撃隊「スターフォックス」。彼らは今、特に依頼が来ていないので
ライラット系コーネリアに停滞して休息をとっている。
といっても彼らにとっては強襲巡洋母艦「グレートフォックス」は我が家みたいなもの。
外には買い出しや気分転換に行くだけで、1日の大半はここで過ごしている。
彼らは今もグレートフォックスの中だ。
ペッピー・ナウス64は通信室で何か事務作業をやっている。
フォックス・ファルコ・スリッピー・クリスタルの4人はトレーニングルームで
特訓中だ。今はフォックスとファルコが格闘戦を繰り広げている。
クリスタルとスリッピーはルームのはじで座って2人の格闘を見ている。
クリスタルは笑顔で見守っているがスリッピーは2人の戦いがあまりに
激しいため、オドオドと心配している。
「フォックス、ファルコのスキをつくるのよ!」
「あわわわわ・・・・ケガしないでよ〜・・?」
「くっ・・・・・!」
「オラオラ、逃げてばっかじゃ体力消耗するだけだぜ!」
ファルコの連続パンチがフォックスを襲う。パワーがある上スピードもあるから厄介だ。
フォックスはただそれを避けるのに必死だった。
避けるだけのフォックスにイライラしていたのか、しびれを切らしたファルコが
痛烈なパンチを送ろうとふりあげた。
「これで終わりだ、フォックス!」
「・・・今だ!」
ブン!とファルコの拳がフォックスの横で空を切った。
力がこもっていたため、避けられたファルコは勢いあまって前に傾いた。
そのタイミングを狙い、バシッ!とフォックスがファルコの脚を尻尾で払い、
ファルコは前に倒れてしまった。フォックスの勝ちだ。
「フゥ・・地面に手つけたら終わりだったよな、ファルコ?」
「るせぇ!んなことわかってるだろ!」
悔しそうにファルコが起きあがった。二人の息の荒さと汗の量から
どれだけ厳しい接戦だったか分かる。
「フフ・・・・。それにしてもフォックス、格闘戦が上手になったわね。」
「前回のアパロイドの件では白兵戦が多かったからな。
クリスタル達はアーウィンの操縦の腕が上がったんじゃないか?」
「それじゃあ今度はドッグファイトでやろうぜ。リベンジだ!」
「別に俺の腕が落ちたとは言ってないけどいいのか、ファルコ?」
フォックスがにやついて悪戯っぽく言う。
「上等だ!」
ファルコが誘いに乗ったとき、フォックスの通信機が鳴り出した。
フォックスが誰かと話している。恐らくペッピーだろう。
話はすぐ終わり、フォックスが申し訳なさそうにファルコに言う。
「すまん、ファルコ。悪いがペッピーの事務作業を手伝わないといけなくなった。」
「ああん!?事務作業なんてあのおやじ1人にやらせとけよ!」
「俺しかわからない内容なんだ。それに仕事の量も半端じゃないから
ペッピー1人では可哀想だ。ドッグファイトは今度の機会まで練習しといてくれ。」
「フォックス、最近忙しそうだけどなんだか疲れてない?」
「大丈夫さ、クリスタル。心配してくれてありがとう。じゃっ!」
そう言うとフォックスはトレーニングルームから駆け足で出ていった。
「・・・・この頃フォックス、なんかムリしているわね・・・」
「そういえば昨日、オイラがみんなのアーウィンの整備しているとき手伝ってくれたよ。」
「オレも前に武器のメンテをやってもらったな・・・」
「もう、みんなフォックスに頼りすぎよ!フォックスだって自分の仕事があるんだから・・
・・・それはそうとファルコ、宇宙のドライブ、フォックスの代わりといっちゃなんだけど。」
「お!容赦しねーぜ、クリスタル?」
「ふふ、私だってこの間で強くなったのよ。行きましょ!」
「うぅ・・・昨日アーウィン綺麗にしたばっかなのに・・・」
フォックスとペッピーが事務をやっている間、
衛星画像からファルコとクリスタルが戦っているのが見えた。
次の日の朝。みんな集まって朝食を食べていた。
バタートーストやホットコーヒーの香りが食欲をそそらせる。
「わーー!!フォックスフォックス!コーヒーあふれてる!」
「え?ぅ、うわっ!!」
ボーっとしていたせいか、フォックスはいつの間にか注いでいた
コーヒーをあふらせてしまった。慌ててフォックスはこぼれたコーヒーを拭く。
「オイオイ、らしくねーな。お前がボーっとするなんて」
「フォックス大丈夫?昨日もろくに寝てないんじゃ・・・・?」
拭き終わって席に着いたフォックスの目元には、少しくまができていた。
フォックスはクリスタルに明るく言う。
「あ、ああ。ちょっと弾の確認とかブラスターを磨いていたら
朝になってしまって・・。自分の事だから自業自得さ。」
「でも、自分の事が遅れちゃうのは私たちの手伝いをしてくれているからでしょ?」
申し訳なさそうに言うクリスタルにフォックスはきっぱりと言う。
「いや、仮にも俺はこのチームのリーダーなんだ。仲間を助けることだって当然だ。
心配してくれてありがとな、クリスタル。」
「でも・・・・・・・」
フォックスのお礼を素直に受け取れないクリスタルの言葉にはまだ心配の心が残っていた。
「あ、もうこんな時間か。ペパー将軍とミーティングがあるんだ。通信室に行ってくる。」
コーヒーをぐいっと飲み干し、フォックスは少しふらつきながら部屋を出ていった。
「フォックス、元気を振る舞っているけど明らかに疲れているわ・・・」
「なんだか心配だよ〜〜〜〜・・・」
「お前ら心配しすぎじゃねーのか?アイツは結構タフだから大丈夫だろ。」
「そんな事を言う前に、お前は自分の事をフォックスに手伝わせるな!」
「・・・うぐ。」
ペッピーの叱咤にファルコが詰まる。
「ほらほら、お前らもフォックスばっかりに頼ってはいかん。
アイツの負担を減らす為にも自分のことはしっかりやれよ!」
「ペッピーだって事務頑張ってよ!昨日フォックス、アレが1番大変そうだったわ。」
「・・・ふぐ。」
クリスタルの困ったような口調の意見にペッピーも言葉を詰まらす。
お互いに反省したところ、各自自分の仕事をしに部屋を出ていった。
午後になり、4人はまたトレーニングルームで特訓をしていた。
今日もフォックスとファルコが戦っており、クリスタルとスリッピーは見学している。
昨日と違うところは、クリスタルの表情はどこか不安げなところだ。
「・・・フォックス、今日はなんだか動きが堅いわ。」
「オラ、動きが鈍いぞ!」
「・・・・・・・・・・・ッ!」
昨日と全く同じ状況。フォックスの汗の量と動きと表情の堅さ以外は。
避けるのにもなんだか必死に見える。と、とたんにフォックスがよろめいた。
「スキありだ!」
ファルコのパンチがフォックスの腹部に当たりそうになった瞬間、
スレスレでフォックスは素早く横に重心を傾けて避けた。が、勢い余って倒れてしまった。
ドシン!という音がした。パンチのスピードが速かった分、避けた勢いも大きいからだ。
仲間がいつものように声をかける。
「フォックス、大丈夫かい?」
「ちっ、あと少しだったのに・・・・・大丈夫か、フォックス?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・フォックス?」
返事がない。ファルコがフォックスを見てみると、
フォックスは汗だくで苦しそうな顔をしながら倒れていた。
「フォックス!?フォックス!!」
「・・・・チッ!オイスリッピー!早くオレ・・・・
かすれゆく意識。ファルコが何かを言っている中、フォックスの意識はなくなった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
どれくらいの時が経ったのだろう。フォックスは目を覚ました。
見渡すと、そこは自分の部屋で、自分はベットにいた。誰かが運んでくれたのだろう。
額には濡れタオルがあった。まだひんやりしてて、気持ちよかった。
・・・・・机の方に誰かいる。
「・・・ファルコ?」
「おう、目ぇ覚ましたか。」
ファルコがこっちに来て近くのイスに腰掛ける。
ずっと看病してくれていたのか・・・・・・・?
「ああ。おかげさまで気分も良いよ。」
お礼の気持ちを込めてフォックスは言った。
しかしファルコは少しうつむいてなんだか元気がなさそうだった。
「・・・ファルコ?」
「すまねぇ。」
「!」
「お前が疲れているっていうのにリベンジだ!ってあんな戦いに誘っちまって・・。悪かった。」
「そんな!トレーニングは毎日欠かせないものだし、
さっきのをもっと素早く避けられなかったのは俺が油断していたからだ。気にするなよ。」
「フォックス・・・・」
即座にフォックスがファルコをかばったが、ファルコの表情はかわらない。
少しためらったが、ファルコは胸にひっかかってる疑問をフォックスに言った。
「・・・・最近、お前頑張りすぎてないか・・・・?」
急に変な質問をしてしまったか、とファルコの顔が少しひきつった。
しかし、もし原因が自分だったら?と思うとファルコは気になってしかたがなかったのだ。
心配そうな顔をしているファルコを見て、フォックスも真顔に戻る。
そして、目をつぶってそっと、重く、語り始めた。
「・・・さっき、親父の夢を見ていた・・・」
「!・・・・フォックス・・・・・」
フォックスの父、ジェームス・マウラウドはフォックスと同じく遊撃隊のリーダーだった。
しかし、とある任務で仲間に裏切られて死んでしまった。今は、もういない。
「あのアパロイドとの戦いの後から、親父の事をよく思い出すんだ。
・・・・それから「リーダー」というものに意識し始めた。
親父は本当に凄い人だったよ。アーウィンの腕も一流だったし、何より仲間を力強く支えていた。」
「・・・・・・・・・」
ファルコは、フォックスの横顔を黙って見ている。
「俺も、親父のようなリーダーになりたいし、それ以上を越えたい。
だけど、本当にそのような存在になれるのか、不安でたまらないんだ・・。」
「・・・・・妙に最近1人でモノ背負い込んでいたのは、そのせいだったのか。」
「・・・・・ああ。」
それから、しんとした重い沈黙が続いた。
そして、ファルコがその重い口を開けた。
「フォックス」
「・・ファルコ?」
その声はとても重かった。ファルコの表情も険しい。
怒っているような、だけど何か悲しんでいるような、そんな顔。
フォックスはそんな顔をするファルコを見て驚いた。
「・・・・お前はオレ達を信頼してねぇのか?」
「!!そんなわけ・・・・・・
フォックスは慌てて否定しようとしたが、ファルコの続く言葉がそれをさえぎる。
「フォックス、お前はお前なんだ。
お前は今朝クリスタルに「リーダーだから仲間を助けるのは当然」とか言ったが、
オレらにとってもお前は大切な仲間なんだよ!一人で抱え込んでねぇでもっとオレ達を頼れ!」
「・・・・頼ってくれねぇと、信頼されてないみたいで・・・・・悲しい。」
「!!・・・・・・・・・」
フォックスの目つきが変わり、フォックスはファルコをまっすぐ見て、
「ファルコ」
「おう?」
ファルコのその返事にはどこか余裕が見れる。
「俺は・・・親父を越えたい、早く立派なリーダーになってみんなをひっぱって
いかなければならない、と盲目に自分で自分を追い込んでいたんだな。
だけど、俺は俺。俺には周りに頼もしい仲間達が居ることを忘れていたよ。
とても・・・大事な事だったのにな。」
「・・・・へっ、気づくのが遅ぇんだよ。」
「・・そしてそれを気づかせてくれたのはファルコ、お前だ。・・ありがとう。」
「・・・!!バ・・・バカ野郎!頼れといってもテメェの事はテメェでしっかりやれよ!」
素直なフォックスの言葉にぎこちなく照れるファルコ。
そんなファルコを見ているフォックスは、嬉しさでいっぱいの笑顔だった。
「・・・ファルコ。」
「何だ?」
「これからも、よろしくな。」
「・・おう!」
互いの友情を再び確認したフォックスに、机の上の書類が目に入る。
「さて、その机の書類も片づけないとな。」
「オイオイ、まだ病み上がりだろ?完璧主義のオレさまに任せろって!」
「お願いしたいところだが・・・内容の意味わかるか?」
昨日のようにフォックスが悪戯口調でファルコを挑発する。
「あ、この野郎!絶対やってやるからな!」
2人の騒がしい笑い声が響く部屋の前を、クリスタルとスリッピーは見守っていた。
「フォックス、元気になったわね。」
「でもクリスタル、部屋に入らなくて良いの?」
「2人を邪魔しちゃ悪いわ。それに1番心配していたのはファルコなんだから。
フォックスが倒れたとき、真っ先に指示を出したのはファルコだったわ。
「スリッピー!オレと一緒にフォックスを運べ!クリスタルは水とタオルだ!」
って。私は動揺するだけだったわ。あんなに早く、冷静に指示を出せるなんて
常にフォックスを心配していた証拠よ。」
「ケンカするほど仲が良いって事なのかなぁ?」
「ふふ・・・。さぁ、私たちもフォックスを助けてあげましょ。
・・・・スリッピー、料理できたわよね?」
「あ!クリスタルったらオイラをみくびっちゃって〜〜。
料理なんて、チョロイチョロイ!」
「言ったわね〜!それじゃ、どっちが上手に作れるか勝負よ!」
「負けるもんか〜!」
そう言ってクリスタルとスリッピーはキッチンに向かった。
今日も、グレートフォックスには仲間達の笑い声が響き渡る。
End.
□ ■ あ と が き ■ □
あわわわわわわわわ・・・・・・;遂に小説書いちゃったよ!!(ぇ
まさか自分が小説を書くとは思いませんでしたが、アサルトやっていく中で
フォックスメンバーを自分で動かしてみたいなぁとか、創作意欲とか色々
わいてきてしまって・・・(何
初めての小説、いかがだったでしょうか?
変な違和感をもたれなければ良いのですが・・・^^;
話は・・多分ベタですね。頑張りすぎて倒れる、みたいなの。
でもこういう話を書いてみたかったんですよ。ベタ最高!(五月蠅い
で、この小説で何を伝えたかったかというと、
「何でも一人で抱え込まないで、周りには支えてくれている友達もいるよ!!」とか
「焦らず自分のペースで生きていこうとか」って言っているとなんだか恥ずかしいです(汗
なにはともあれ、とても楽しく書けたので自分的には満足ですw
それにしても、こんなに長くなるとは思わなかったなー・・・^^;
よければ感想下さい・・w
図書室Top
Top