第4話「衝突」

カチ・・・。 静寂しきった部屋にはクリスタルが重いスイッチを押す音が響いた。 「・・・・・」 「・・・・・」 「・・・・・」 しかし、何故「静寂しきってる」のか? その理由は・・・。 「なんだか危険な波を感じたけど・・これでよかったかしら?」 ビー!!ビーー!! 「艦内緊急爆破ボタンが押サれマシた!!75分後に爆破を開始サレまスので艦内  ニ居る者はたダちに避難ヲしてクだサイ!!繰り返しまス・・」 「てめぇ・・よくも・・!」 クリスタルは別のボタンを押したのだ。 不適な笑みを見せるクリスタルとは裏腹に、 子分達は逃げ出したりどうすればいいのかうろたえていたりと、大混乱をおこしている。 さすがのタイガーもこれには戸惑いを隠せないようだ。 クリスタルがささやくように言う。 「タイガー・・あなたは2つの誤算をしたわ。」 「ご・・誤算だと?」 「1つ目は私に選択の自由を与えたこと。  どんな状況にしろ油断してはならない・・わかるでしょ?」 「・・ぐっ・・!」 プライドが高いのだろう、自分の非を責められてタイガーは ぶるぶると強く歯を噛み締め、拳は強く握られている。 「2つ目。スターフォックスをみくびったこと。  みんな数々の困難を乗り越えてきたわ。こんなところでやられないと・・  私は信じている。そして、それは私もおなじ・・・。」 そうしてクリスタルは隠していたグレネードを掴み、振り上げた。 「んな・・・っ!!」 「ナメんじゃないわよっ!」

ズガアァァァァン!!!

クリスタルが地面にグレネードを強く叩きつけた。激しい爆発と煙がたちこめる。 「うわぁぁぁ!もうおしまいだぁぁぁ!」 「落ち着け馬鹿どもがァ!急いで解除作業にとりかかれ!他の奴らは・・・」 怒りのあまりに震えが止まらない。 「・・もう能力のダウンロードはできた。あの女を・・・壊せ。 「・・ハァ・・ハァッ・・!」 必死に退路を探す。 道中にも数多くの子分がいたがこの状況に焦っているらしく、 スキがあるので障害にはならかった。 「・・とにかくみんなを探さなきゃ・・!」 目の前の大きな扉に目が入った。クリスタルは迷う事無く中に入った。 「ここは・・」 広い空間、中央にある機械みたいな椅子・・そこはクリスタルが監禁されていた場所だった。 「フン、また捕まりたいのか?」 「!!」 振り替えるとタイガーがいた。気配なんか感じなかったのに・・! タイガーは鎖につながれた巨大な鉄球を持っていた。 そして今までの冷淡さはなく、静かな言葉のなかに怒りと憎しみの重さがあった。 ・・・危険だ。クリスタルは間合いをとった。 「調子に乗りやがって・・もういい。お前は用済みだ。・・・消えろ!!」 「くっ!」 興奮したタイガーはクリスタル目がけて鉄球を放つ。 クリスタルはそれをひたすら巧みに避けていたが、次第に体力も失っていった。 そしてー 「・・・あっ!」 ガッ! 足をつまずき転んでしまった。タイガーが笑みをこぼした。 「終わりだ!!」 「!!」 目の前に鉄球が飛んできた。足がすくみ、避けることができない! (フォックス・・!!) チュン!

ガアァァァァンッッ!!

「・・・え?」 「なにィ・・!?」 鉄球がクリスタルにぶつかる瞬間だった。 鋭い光線が鉄球めがけて放たれ、軌道をずらし、わずかにクリスタルに当たらないようにした。 クリスタルはすぐさま発射された方向を向く。 鉄球が勢い良く床をぶち抜いたせいで煙が舞ってよく見えなかったが・・ 見覚えのある三角の耳、鋭い尻尾がシルエットとして見えた。 「フォックス・・・?」 「ッチイ!素直に道をあけやがれ!!」 動力室へ向かうファルコに無数の子分達が襲い掛かる。 動力室を押さえてしまえば要塞のほとんどの機能が停止する。 コアとなる場所だけに警備も尋常ではなかった。 「ここだけは通すな!」 「くたばっちまえぇぇ!」 「クッ・・!お前らほんとウゼェぞ!!」 ファルコは今、ドーム型の少し広い部屋にいる。 ちょうどファルコがその部屋の中心にいて、 所々から敵が出てくるので先に進めずにいるのだ。 「キリがねぇ・・!」 少し気を抜いた瞬間だった。 「くらえッ!」 「!!」 気付けば目の前に敵がいて銃口を向けられていた。がー ドスッ! 「ぐあっ!」 敵は後ろから強く殴られ、気を失った。 「フン、こんなんでよくハニーを助けようなんて思ったね、トリさん?」 ファルコが警戒してブラスターを構える。 しかし、その手はすぐおろされた。 「テメェは・・・っ!」 「コントロールルーム、コントロールルーム・・っと」 スリッピーがパタパタと走り抜けていく。 「あそこをうまく利用できたら外の装置も解除できるしね・・早くいかなきゃ!」 そう言いながら走り続ける。しかし、突然ある違和感に気付いて足を止めた。 「・・そういや、なんで敵が出てこないんだろ?  まぁボクにとっちゃ好都合だけどね。」 そしてまた走ろうとした時だった。 「ギャアアアアァァァ!!」 「うわあぁ!?な、なんだよ〜・・?」 先の部屋から数人の悲鳴が聞こえた。スリッピーはおそるおそる覗いてみた。 すると、もの凄い数の子分が恐怖に染まった顔で倒れていた。 真ん中に誰かが立っている。 「だ、誰がこんな・・・あああっ! 「・・・誰だ?」 鋭い瞳がこちらを向いた。 「・・・・ハァ・・・・・ハアァッ・・・!!」 フォックスはハッチに侵入してからずっと長い通路を走り続けている。 途中に襲いかかってくる子分達も強引に押しのけていく形で乗り越えてきた。 が、もちろん子分達も攻撃をしてくる。数少ないバリアを駆使しながらも、 ほぼ捨て身に近い状態へ彼女の元へと進んでいった。 「・・・うあっ!」 ドシャアッ!! 急いで駆け抜けるあまり、つまづいて転んでしまった。 が、ボロボロになっている体をすぐに起きあがらせる。 「・・・・・・・・ハァ・・・ハァ・・・」 彼女が誘拐されたのは自分の責任だ。 フォックスはクリスタルを救いたい思いでいっぱいだった。 それは自責を晴らすためでもあるが、フォックスは純粋に彼女を・・・ 「クリスタル・・・無事でいてくれ・・・・・・!!」 そしてまた彼は走りはじめた。 それから10分ほど駆け抜けた時、目の前に大きな扉が見えた。 「ここかっ!!」 バァン!と勢い良く蹴り開けた。 「フォックス・・・?」 「・・・・・・クリスタル・・・・!」 会いたかった姿が、そこにあった。 To be continued.....






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